環境庁は、原油および油処 理剤の環境影響調査のためのガイダンスをまとめました。近年、日本海沿岸 に大量の重油が漂着し、環境に重大な影響をもたらしたナホトカ号重油流出 事故(平成9年1月)などで、環境への影響が問題視されています。こうし た事故により、流出油中に含まれている有害物質の種類、毒性などの情報を 系統的に整理することや、事故発生直後の環境影響、油防除作業に携わるボ ランティアなどの健康影響などについて速やかに評価し、その情報を提供す るなどの緊急時の体制を整備しておくことが必要と指摘されています。

 こうしたことから環境庁では、平成9年度から、事故発生直後における人 体、海生生物等への影響に関する速報的な環境影響調査を効果的に行うこと を目的として、

  1. 油の特性に応じた人体、海生生物等に対する影響の大きい物質の特定
  2. これらを適正な時間と精度で検出できる調査手法の選定
  3. 調査に関連する情報の収集・整理
    を行ってきており、このほど、これらの情報を体系化したガイダンスに取り まとめたものです。

 ガイダンスは4つの章建てで、第1章では、流出事故と環境影響の関係 を整理し、平常時、事故発生時、復旧時のそれぞれにおける環境影響調査の フローを示しました。第2章では、実際の環境影響調査手法を解説、第3章 でバックグラウンドデータの把握に役立つ各種データおよび油回収作業の 実施体制に関する情報を整理し、平常時の備えと体制整理の必要性をまと めています。さらに第4章では回収した油の処理方法や処理剤の取扱い、 また損害補償制度などを解説しました。

 環境庁では広く我が国の沿岸地域において、油流出事故による環境影響 等を迅速かつ適切に評価できる体制が整うよう、このガイダンスを地方公 共団体、関係機関等へ提供することにしています。  

 資料: 7月21日付 環境庁HP(水質保全局扱報道発表資料)
7月25日付 化学工業日報

   環境計量課 竹下 尚長  


コンテナ・記事目次へ


Copyright (C) Naitoh Environmental Science Co., Ltd.
webmaster@knights.co.jp