特定化学物質の排出 量の公表をPRTR法に基づき、排出源である工場などの事業所の排出データが12月にも公表 されることが決まりました。経済産業省と環境省が、354種の対象物質ごとに、国内全体の 排出・移動量をはじめ、都道府県別、業種別、事業所規模別の各データを発表する予定で、対象 事業所数が3万5千に上ることが判明しました。12月以降、地域住民などから情報開示請求 を受けた場合、事業所は対象物質の排出・移動量を公開しなければなりません。

 PRTR法は2001年4月に施行されましたが、対象事業所が排出量を把握するための猶予期間 を設けたことから、データ公表まで時間がかかっています。現在集計作業中で、対象事業所数 は3万5千に達します。公表が義務付けられるのは、従業員が21人以上で、対象物質の年間取扱 量が1トン以上(施行から2年間は暫定措置として5トン以上)の企業などとなっています。  一方、公表データの対象は、主要23業種。事業所(工場)規模別は、規模の大きい順に、従業員 数5百1人以上▽2百1人〜5百人▽百1人〜2百人▽21人〜百人▽21人以下、の5段階です。  PRTR法は、ダイオキシン類やトリクロロエチレンなどの有害化学物質による人の健康や自然 環境への影響を監視するため、工場排出源と自動車排ガスや農薬など工場以外の排出源のそ れぞれについて、化学物質の排出・移動量を把握する制度です。

 ただ、自己申告制のため、事業所側が、「排出量が1トンに満たない」と主張した場合、国 や都道府県に立入調査権がなく、検証する手立てがないといった限界もあります。

 身の回りに危険な物質がどれぐらい存在しているかを国民に知らせるPRTR法の考え方は 、92年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球サミットで合意されました。欧米各国 は、数十から650物質を対象にこの制度を運用しています。

資料:10月17日付 日本工業新聞、1面

元素分析課 岡田 伸美


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