過去、産廃処分場に持ち込まれた自動車の粉砕くずなどに含まれるポリ塩化ビフェニル (PCB)が、植物が腐敗して生じるフミン酸や合成洗剤に含まれる直鎖アルキルベンゼンス ルホン酸(LAS)に触れると、通常値の数十倍の濃度で溶出するおそれのあることが、酒井 伸一助教授(京大環境保全センタ−、環境工学)らの研究で明らかになりました。

破砕くずを10倍の重さの蒸留水に浸した場合、68 ng/gのPCBが溶け出したのに比べ、 フミン酸が 0.02% 含まれると、PCBの濃度は4.6倍に増えLASが 0.001% 含まれる と、3.1倍に、同 0.1% では、68倍に達していたということです。

PCBの製造は 1974年に法律によりその製造・使用が禁止されていますが、国は昨年4月 まで、排水処理施設のない「安定型産廃処分場」に、これらの破砕くずの持ち込みを認めてい ました(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)。乗用車を処分する場合、PCBが含まれる部 分を分類する手間をかけると1台2万円程度かかるということですが、実際には、2千〜4千 円で破砕して、処分場に持ち込まれているケ−スが多いということです。また、PCBを含ん だ部品などは、事業所で保管することが義務づけられていますが、ごみに混ぜて廃棄される ことも多いようです。このことから、禁止以前に作られたPCBが、溶出濃度を高める物質の 影響で環境中に漏れ出しているおそれがあるため、処分場にどんな化学物質があるか調査す る必要があると指摘されています。


資料:朝日新聞、平成9年2月6日号

クロマト研究室 高橋


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