厚生省は7月18日、水道水源のクリプトスポリジウム等の検出状況の中間発表 を行い、水道でのクリプトスポリジウム対策の実施状況を明らかにしました。

 中間発表では、調査した42水源水域の121地点で、クリプトスポリジウムが2 河川・2地点で、類似の調査で発見できるジアルジアが8河川・貯水池の13地点 で検出されました。また、対策が必要と思われる浄水施設のうち、6月末現在9 8施設が未対応となっています。

 今回調査された水道水源は、河川14、ダム 13、ダム放流水7、湖沼5、湖沼放流水1、伏流水2カ所。各水域とも@浄水場取 水地点A取水地点より0.4〜24H上流B1.2〜49H上流―のほぼ3カ所ごとに10ャ 水中での数を調査。(財)水道技術研究センターに「病原性微生物等の水道水 源における動態に関する研究」として調査を委託。同センターは金子光美摂南 大教授を委員長に委員会を設け、全国94水源水域・282地点で検査を計画し、 全体の結果を今秋判明させるといいます。 中間の検出結果では、クリプトス ポリジウムが取水地点より0.4〜24H上流で雄物川で2、最上川で4個等、検出は 水源、数ともに少ないが調査はわが国水道での感染性微生物対策の足掛かりと いえ、通常時にどの程度水源に存在するかを知るのが第一の目的です。実態不 明の越生町で発生したクリプトスポリジウムによる集団感染症は約8800人もが 発症しており、予防対策の徹底は肝要です。

 厚生省ではこれら検出箇所の水源水域から取水する浄水施設の安全とともに 、給水地域での集団下痢等も発生していないことを確認する一方、昨年10月策 定の「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」の予防対策等実施状 況を公表しました。水道、水道用水供給、専用水道事業をあわせ、今年3月末現 在で対策が必要な施設は1135。うち確実に安全といえる浄水場ろ過池出口の濁 度0.1度以下の管理が行われている施設が964。6月末現在、残り171施設中73施 設が対応したといいます。

 厚生省では、未対応の施設に対し早期対応の徹底・必要を促していく考え です。この調査ではO-157も調査、発見・発病例は皆無でした。

                                                                                                                              

資料:日本水道新聞 平成9年7月21日号

 衛生検査室 向井

 

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