河川の水質は、流域においての排水規制や下水道整備などの対策 、河川内のさまざまな対策により汚濁の著しい時期と比較して徐々に 改善されてはいますが、都市河川や湖沼を中心に依然著しい水質汚濁 が生じています。一方では、環境問題への関心の高まりとともに、良 好な水環境の創出へと期待が一層高まっており、地域レベルで各種の 取組みが展開されています。ここでは、河川水質の現況と河川事業に おいての水質浄化対策の現状と課題について紹介します。

建設省では昭和33年から全国1級河川の直轄管理区間において、河川 (湖沼も含む)の水質調査を実施しています。

河川の水質改善については、まず浄化用水の導入があります。これは 汚濁の著しい河川のうち、水裏が僅かであったり流れが停滞している河川 の浄化対策として実施されています。この導入による浄化効旺としては、 希釈作用のほか、流況を改善することによる富栄養化の防止があげられます。

 2つ目に河川の直接浄化があります。これは生活排水の流入により水質 汚濁が著しい都市内河川や、富栄養化現象の見られる湖沼の流入河川にお いて、流水からの汚濁物質を直接取り除く浄化施設の設置を実施していま す。この浄化施設の目的は、BODとSS濃度の低減にあります。

今後の課題としては、浄化用水のための水裏の確保や、直接浄化施設か ら発生する汚泥処理等の問題から、河川の浄化対策が十分に進まない場合も あり、これらの課題に対し、他事業との連携・共同による浄化対策が必要と なってきます。

また、河川水質に対する問題として、河川における病原性大腸菌O-157 やクリプトスポリジウムによる汚染があり、これら病原性微生物の汚染は、 重大な健康被害を引き起こす可能性があり、その監視と対策は今後の重要な 課題になってきます。
[建設省河川局河川環境課 課長補佐 山本 昌宏氏稿 要旨から]

                                                                                                                                                                                                   

 環境新聞 、 平成9年11月12日号 


 環境分析センター 内田  

 

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