PRTRとは、環境汚染のおそれある化学物質の環境中への排出* または廃棄物としての移動* を登録し公表する仕組みのことで、行政・企業・市民がこれらのデータを共有して化学物質のリスク管理に役立てます。

 環境庁が昨年6月から国内2地域(神奈川・愛知)で行ったPRTRのパイロット事業で、塩化水素などが廃棄物としての移動* が多いなど、物質ごとのおおまかな動きがわかりました。

パイロット事業は、OECD勧告に基づいたわが国への導入にあたっての準備を進めるためのもので、川崎市・湘南地域と愛知県西三河地域で行われました。

 対象物質は有害性や暴露の可能性が高いと考えられる178物質で、一定* 以上の対象物質を取扱う一定規模以上の約1800事業所を対象に協力を求め、その約52%の事業所から回答があり、うち約53%が「対象物質を取扱っている」として排出・移動* の報告がありました。

 移動発生源からのものを合わせると134物質について何らかの報告・推計がなされています。

事業所など点源からの排出* を媒体* (大気・水域・土壌)にみますと、大気への排出が多く、総排出* で98%を占めています。

 廃棄物としての移動* が多かったのは塩化水素、アルミニウム化合物、トルエン、キシレン類、アクリロニトリルなどです。

 リサイクルとしての移動* では、トルエン、キシレン類、鉛化合物、ニッケル化合物、クロム化合物(6価以外)などとなっています。

 廃棄物が発生した地域とその移動先をみますと、川崎市で多かったアルミニウム化合物などは地域内への移動が殆どでしたが、湘南地域で多かった塩化水素などは多くが県外への移動であることなどがわかりました。

                          

 

 

 

    資料:廃棄物新聞、5月18日号

環境分析センター 岡田


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