米穀、 蔬菜等の農作物に含まれるダイオキシン類について農水省は9月29日までに、 来年度から3年間、全国47都道府県で濃度の測定調査を行う方針を固めまし た。収穫地点の土壌濃度なども調査し、作物でのダイオキシン類の吸収程度 を分析するものです。農作物については 1970 年代に散布されたCNP(96 年販売禁止)等の塩素系除草剤が土壌蓄積、農作物汚染を来しているとする 指摘があったものの、全国規模での調査は行われていませんでした。調査は 日本土壌協会(千代田区所在)に委託し、測定と分析はそれぞれ専門の分析機 関に依頼される模様です。

【沿革】 農作物のダイオキシン類については愛媛大農学部の研究グループ が北海道や東京など全国9カ所の水田の土壌を調査(86年)したことがあり、 平均値 1 g 当り 90 ng(ナノグラム)が検出されています。

 土壌に関しては今年に入り厚生省がごみ焼却施設からの汚染が問題化した 大阪府能勢町の「豊能郡美化センター」周辺地区で調査、高濃度汚染を確認。 さらに環境庁が今年度から全国400 個所の濃度測定を5カ年計画で始めた ばかりでした。

【調査の概要】 手始めに各都道府県に1カ所づつ調査地点を設定、穀類、 果樹類、蔬菜類、と3種類で実施。収穫期に作物を収集し濃度を分析する 一方、土壌の濃度も測定するもの。結果によっては、調査の範囲がさらに 広がることになります。調査地点の選定と対象作物などは今後の専門家の 意見聴取をへて決められるようです。

 環境庁によれば国内にはこれまで農作物、土壌とも基準値はなく、外国 でも農作物に基準値を設けた例はなく、土壌についてはドイツで、農用地 の場合、1 g あたり 40 pg(ピコグラム)と定めています。

【調査結果】 結果の公表を検討中といいますが、サンプルに高濃度の汚 染が確認されると、一帯の農作物への風評被害も予想されるところから調 査地点選定ともども慎重な対応が必要になりそうです。

資料:読売新聞、平成10年9月30日号

顧客課 関根利康


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