建設省 は9月27日、10月22日の会合を受け、このほど建築基準法の改正に伴う“浄化 槽の性能規定化"などに合わせ、浄化槽の処理対象人員算定基準(JIS−A− 3302−1988)を見直す作業を開始しました。基準自体をより実態に合ったも のに見直す一方、10人以下の人槽区分を5、7、10人へと少なくすることも視野 に入れるようです。平成11年内に改正原案をまとめ、通商産業省[JIS基準 の所管庁]に改正を要請することになります。

 JIS基準では原則として建築物の延べ面積をもとに浄化槽の処理対象人 員を建築基準法の浄化槽構造基準で「建築の用途別によるし尿浄化槽の処理 対象算定基準」に基づいて算定することになっており、住宅の場合、延べ面積 と実際居住人数とが必ずしも一致せず(2人しか住んでいない広い住宅に10人 槽が設置されるなど)、建築物の使用現況が明白に実態に沿わない場合は算定 人員を増減できる但し書きがあるものの、使用状況を個々に配慮するのは困 難なことから、一般には一律に延べ面積で算定されていました。

 国庫補助事業である合併処理浄化槽設置整備事業について会計検査院から 問題点指摘を受けたこともあって、平成9年3月政府策定の第3次規制緩和推 進計画の対象ともなっており、 昨年10月総務庁が行政監察で改善勧告をして いました。建設省では昨年3月、厚生省は今年3月、 但し書きに基づく適性運 用を市町村などに指導しており、今回、建設省がJIS基準そのものの抜本 改正見直しにはいったもの。見直しでは基準をより一層実態に合ったものに 見直し、現行では10人槽以下の製品が5、6、7、8、10人などに細分されているも のの、この種の細分化が有意味か疑問視する声もあり、検討対象となる模様 です。

 建築基準法の改正で建築規制に性能規定を導入することになり、浄化槽に も構造と性能を定める施行令(政令)、具体的な構造を指定する構造基準 (告示)の見直し作業も進められているほか、BOD(生物学的酸素要求量)、 SS(浮遊固形物)、窒素、リンなど処理水質の性能評価方法原案をまとめて おり、JIS基準はこれらと併せて改正されることになります。  JIS基準改正委員会は、委員長須藤隆一教授(東北大大学院工学研究科 環境生態工学研究室)ほか学識経験者、建設・厚生両省の行政担当者、浄化槽 メーカーの代表者ら16委員の編制。

資料: 平成11年10月26日付,設備産業新聞(週刊)

環境調査課 関根 利康


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