厚生省は、ビルやマンショ ンに設置される容量 10 m3 以下の小規模受水槽と、学校や幼稚園の自家用水 道等の水道法の規制を受けない水道について規制を見直すことになりました。 これらの施設は事実上不特定多数者に飲料水を供給しているものの、居住者が いないため、水道基準を担保する法律上の措置がなく、伝染病の原因ともなる 事例が発生するなど、衛生上の対応が求められていることによるもので、容量 10 m3 以上の「簡易専用水道」の規制強化も視野に入れています。生活環境審 議会の水道部会で検討したうえで平成13年に水道法を改正するもの。

 また、ビルやマンションに設置される受水槽のうち容量 10 m3 を超える受 水槽は、水道法に基づく「簡易専用水道」としてその管理が義務づけられてい るものの、10 m3 以下の受水槽は水道法の規制を受けておらず、施設数は 平成9年度で簡易専用水道が17万5千施設なのに対し、小規模受水槽は68万 施設と圧倒的に多くなっています。小規模受水槽の管理は47都道府県のう ち32都道府県、また、39政令市のうち31市が 条例、要綱などで指導してお り、管理状況を検査しているのは2万4千施設で全体のわずか 3.6% にと どまっています。

 検査の結果が不適合だった施設の割合は小規模受水槽が49.4%、簡易専 用水道が43.2%で、ともに管理が十分に行われているとは言えないようで す。簡易専用水道では2千施設が立入り検査や改善命令など権限をもつ行 政機関に通報されています。このため、厚生省の「水道基本問題検討会」は6 月にまとめた『21世紀における水道及び水道行政のあり方』のなかで“簡 易専用水道について規制導入から25年を経た今日でもその目的が十分に達 成されているとは言えない"と指摘し“未規制水道を含めて水道基準を満 足している水道水と同程度の安全性が確保されるべきであり、『飲料水の 水質基準』の設定を含めて、そのために必要な措置が望まれる”と提言し ました。

 さらに、行政施策の方向として「水道法による現行規制が適用されない 施設であっても、事実上不特定多数の人の飲料水を提供することとなって いるものについては、衛生規制を適用する必要がある」と指摘しました。 簡易専用水道については、利用者の不安感を払拭するため水道事業者が管 理状況を検査することを検討するよう求めています。

 これらを受けて厚生省は、未規制水道等の規制的見直しに取り組むこと になったものです。  

 資料: 平成11年12月14日付 設備産業新聞 

 環境調査課 関根 利康  


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