環境庁は このほど平成9年度の全国の大気汚染調査結果をまとめました。二酸化硫黄と 一酸化炭素による汚染が前年に引き続き良好な状態でしたが、工場や自動車 の排ガスに含まれる二酸化窒素や浮遊粒子状物質による大気汚染が、大都市 部で依然深刻な状況にあることがわかりました。

 呼吸器障害や酸性雨の原因となる二酸化窒素の濃度は、全国にある道路沿 いの自動車排ガス測定局 382 箇所のうち、 34.3 %に当たる 131 箇所で環 境基準値 0.06 ppm を超えました。また、住宅地やオフィス街の一般環境測 定局では、1,442 箇所のうち 4.7 %に当たる 68 箇所が基準を満たせませ んでした。それと、肺や気管支などに沈着し肺がんやぜんそくを引き起こ すとされる浮遊粒子状物質については、道路沿い 246 の自動車測定局のう ち 165 箇所で環境基準値(1時間の平均値が1 m3 当たり 0.1 ?)を超 え、達成率は 96 年度より 9.5 ポイント下がり 32.9 %でした。  いずれも首都圏や近畿圏の汚染状況がひどく、埼玉県など都市周辺部で 深刻な状況が続いています。内陸部の群馬県でも、首都圏の工場で発生し た一酸化窒素や炭化水素などガス状物質が海からの風で運ばれ、二酸化窒 素や浮遊粒子状物質に化学変化したとみられる汚染が見つかっています。

 環境庁は 92 年に首都圏や近畿圏で窒素酸化物排出の総量規制を設け、 2,000 年中にはおおむね達成するとの目標を掲げていますが、ここ数年、 汚染の改善は止まっています。そこで、2,000 年からディーゼル車への 規制を強化するほか、工場の排ガスに含まれるガス状物質の規制を検討 していますが、効果が表れるのは 21 世紀になってからで、当初の目標 達成はほぼ絶望的とされています。     

資料: 日本経済新聞、平成10年10月2日号
    環境新聞、平成10年10月7日号

重量分析課 内田陽子


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