環境省は土壌汚染対策制度(新法)についての素案をとりまとめ、 12月14日開催の中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会に提示しました。素案では、地下水の溶出リスクに対 する対策の発動基準は現行の土壌環境基準(溶出基準)を適用すること、対策を円滑に進めるために関係者による 基金を設立すること−などが新たに示されました。また規制対象物質として検討されていた油については、科学 的知見の蓄積が現時点では不十分とし、新法での規制は行わない考えです。現行の土壌環境基準では27項目につ いての溶出基準が定められていますが、この溶出基準が発動基準に適用されます。この基準を超えた場合の対策 は、地下水への有害物質の溶出が回避できれば良いとし、浄化に限らず、遮断や封じ込め、また有害物質がまだ 地下水に達していない場合にはモニタリングの継続実施などの措置でも可能としました。

 一方、土壌の直接摂取リスクについての発動基準の具体的な数値は、今回具体的には提示されませんでしたが 、同省の検討会が先に重金属類9物質について取りまとめた「要措置レベル」に基づいて検討するとしています。 なお土壌の直接摂取リスクについての措置の発動は、安全管理が別途なされている操業中の工場などの敷地内に は適用しないとしています。

 また土壌の調査や汚染が発覚した場合のリスク低減措置の実施主体は原則的に土地所有者としましたが、その 土地所有者が資金不足の場合は対策が進まないことが想定されます。資力のない土地所有者には、対策に要す る費用の助成を行うための基金を検討し、素案では国の補助と産業界の拠出金により基金を作り、その基金は 指定法人が管理します。指定法人を通じて都道府県が土地所有者に対して助成するという仕組みを考えています。

資料:平成13年12月17日付 化学工業日報、 p.12 平成13年12月25日付 化学工業日報、 p.8

環境分析センター 石澤 牧子





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