企業が事業活動に使う化学物質の移動や管理状況を管理するため、埼玉県は来年度から特定化学物質の管理制度をスタートさせるそう です。昨年6月制定した県の生活環境保全条例に基づくもので、製造業や産業廃棄物処理業などの中小規模を含む事業者に対し、化学物 質の取扱量や管理方法の届出を義務付けています。国の「特定化学物質の環境への排出量の把握と管理の改善の促進に関する法律」(P RTR法)と合わせると化学物質の使用と排出の全体像がつかめる仕組みになっています。

国は1999年に事業者に排出・廃棄量の報告を義務付けるPRTR法を制定しました。しかし、入手量や使用量など、取扱量は対象外です 。そこで県は、取扱量を把握する制度を条例に盛り込み、法律を補完します。事業者ごとに化学物質の入手から排出までの“収支”が 判るようにするものです。各事業所の報告内容は、市町村別や物質別などに集計して毎年公表します。

さらに県の制度は、対象となる事業所の範囲も法律より拡大しました。法律では435物質を年間1トン以上扱う事業所となっている ものを、条例ではさらに64物質を追加したほか、量の条件も「500kg以上」に引き下げました。県は中小企業を含めた約1000事業所が対 象になるとみています。

 また県の制度には化学物質の使用や保管上の事故防止対策を取ることや、管理方法を定めた手順書を作成し県に提出することも義務 付け、法律の趣旨を強化しています。

内分泌かく乱物質(環境ホルモン)やトリクロロエチレンによる地下水汚染、ダイオキシン問題など、大気や水、土壌などへ化学物質が 放出され、人の健康や生態系へ及ぼす影響が心配されています。しかし、事業活動を通じてどんな化学物質がどれだけ環境中に排出され ているか全体像を把握する制度はなく、汚染の全体像が依然つかめないのが現状です。

 

                               


資料:2002年1月28日付 埼玉新聞、p. 1

分離分析課 竪山 由美


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