近年企業の工場跡地等の再開発などに伴い、重金属、揮発性有機化合物等による土壌汚染が顕在化しています。2000年度 土壌汚染実態調査の結果によりますと調査事例件数179件のうち土壌環境基準値を超えたのは134件でした。超過事例の 80〜90%は市街地の工場や工場跡地で、項目別では、重金属のみが72件、揮発性有機化合物のみが44件、複合汚染が18件。 これらは放置すれば人の健康に影響を及ぼすことが懸念されますが土壌汚染に関する法制度がないことから、土壌汚染 による人への健康影響懸念や対策の確立への社会的要請が強まっていました。このような状況で本年1月25日に中央環 境審議会から答申がなされ、これを踏まえて「土壌汚染対策法案」が2月15日に閣議決定され、今次通常国会に提出され ました。

法律案の趣旨は土壌汚染の把握、土壌汚染による人の健康被害の防止に関する措置等の土壌汚染対策を実施し国民 の健康の保護を図ることにあります。対象物質は、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質で政令で定められる予定 です。

状況調査の対象は、次の2つの土地です。

@ 使用が廃止された「特定有害物質の製造、使用又は処理を する水質汚濁防止法の特定施設]に係る工場・事業場の敷 地であった土地。

A 都道府県知事が土壌汚染により、人の健康被害が生ずる 恐れがあると認める土地。

@又はAの土地所有者等は当該土地の汚染状況について指定調査機関に調査させ、その結果を都道府県知事 に報告することになります。結果が環境省の定める基準に適合しない場合「指定区域」に指定されます。汚染が見つ かった場合の「リスク低減措置」は県の措置命令の内容に基づき決定します。最終的には、土地の用途を考慮し、人 の立入制限、覆土、封じ込め、浄化等の措置方策から土地所有者等が選択する方式です。

なお、詳細については現在環境省で検討中ですが、施行期日は公布の日から9ヶ月を超えない範囲で政令で定め る日と規定されており、省令の制定は今夏頃、施行は来年春頃の見込みです。


資料:2月14日付 環境省環境管理局水環境部配布資料
2月27日付 化学工業日報、日刊工業新聞、日本工業新聞 各紙

環境技術課 坂田 旭子


          
    1. 食品産業の排水中の窒素・りん回収へ−農水省
      肥料資源への活用ねらい、来年度から技術開発
    2. 廃棄物の定義拡大、 廃棄物処理方法の抜本改正へ
    3. ダイオキシン類関連話題から:魚介類DXN汚染度調査結果
      肥料中DXN含有量調査結果
    4. 化学物質評価システム PRTR版を開発−日化協
    5. ストックホルム(POPs)条約、長距離移動性も判断基準に


      コンテナ目次へ



      Copyright (C) Naitoh Environmental Science Co., Ltd.
      webmaster@knights.co.jp