東京都はこのほど、内分泌かく乱性化学物質(環境ホルモン)やダイオキシン、化学物質過敏症など、従来のような特定有害化学物質による被害ではなく、化学物質総体としてのあり方が指摘される問題が顕在化している状況を背景に、有害化学物質対策の一環として、PRTRシステム(環境汚染物質排出・移動登録)の検討を開始しました。実際に導入するか否かは、国の動向や都民や事業者の意見、具体的な制度運用手法の評価・分析を踏まえて判断されますが、都ではすでに環境庁が先ごろ実施したPRTRパイロット事業などの関連情報の収集を行っており、今後制度導入に関して、より具体的な検討が加えられる見込みです。

PRTRについては、環境庁がパイロット事業を終え、中間報告書をまとめていますが、化学物質問題に対する住民の関心が急速に高まっていることから、地方自治体でも導入を検討するところが相次いでおり、すでに福岡県や神奈川県などが、制度導入に向けた具体的な検討作業に着手しています。

 今回東京都がPRTRの検討を開始したことにより、自治体ベースでの制度導入の動きが全国的に広がっていく可能性が出てきました。                                               

 資料: 化学工業日報、平成10年5月13日号  

クロマト研究室 田沼  


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