工場や自動車の排ガスに 含まれる二酸化窒素(NO2)や浮遊粒子状物質(SPM)による大気汚染は 全国的にはやや改善したものの首都圏では悪化していることが、環境庁が19日 まとめた98年度の調査で判りました。すべての測定地点で両者をクリアしてい るのは全国で13県にとどまり、大気汚染の実態は依然深刻であることが判明し ました。ディ―ゼル車の交通量増加が主な原因とみられます。大都市圏の道路 沿いでNO2の環境基準を満たした測定点で基準を満たすことを目指していま すが、実現は極めて困難になりました。

 調査結果は清水嘉与子環境庁長官が閣議に報告したもの。同庁は2002年度か らディーゼル車の排ガス規制を強化するほか、新たに工場の排ガスに含まれる 窒素酸化物などの規制も検討しています。排ガス規制強化などの結果が表れる まで5年前後かかる見込みで、「低公害車の普及などの対策強化も必要」とみ ています。

 呼吸器障害や酸性雨の原因となるNO2の濃度は、全国の住宅地・オフィス 街や幹線道路沿いの計約1800地点で測定したもの。このうち道路沿いの測定点 で国の環境基準(0.06 ppm)を達成できたのは68.1%で、前年比2.4ポイントの 改善に留まっています。首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)では基準達成率 が27.4%で前年度比4.5ポイント低下しました。近畿圏(大阪府、兵庫県)を含 めた大都市圏全体の達成率も35.7%に留まっています。

 肺がんやぜんそくを引き起こすとされるSPMの環境基準(1時間の平均値 が1m3当り0.1mgを達成したのは、住宅地・オフィス街で67.4%、道路沿い での達成率は35.7%とそれぞれ5.5ポイント、1.7ポイント改善したものの、首 都圏の道路沿いで達成率は2.5ポイント減の3.1%と、極めて低い状態が続い ています。

 環境庁は92年度に首都圏や近畿圏を対象に窒素酸化物排出の総量規制を設 け、2000年度中におおむね達成するとの目標を掲げていました。窒素酸化物 の排出源のほとんどはトラックやバスなどディ―ゼル車として、同庁は2002 年度から一段の規制強化に踏み切る方針です。目標達成には規制強化と併せ て、物流合理化、交通流の円滑化なども含め、天然ガス車など低公害車の普 及促進が大きな課題となります。  

 資料:平成11年10月20日付 日本経済新聞(夕刊)
10月20日付 埼玉新聞など 

 計測課 島崎 鉄男  


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