中央環境審議会土壌農薬部 会土壌専門委員会は4月7日、第4回委員会を開催し、土壌中の硝酸性窒素と亜 硝酸性窒素の挙動に関する調査検討方針をまとめました。専門委員会では同 方針による知見の集積により、硝酸性窒素の環境基準設定に関する報告をま とめる方針です。環境基準が設定されれば、事実上化学肥料の適正使用に関 する規制が導入されるかたちとなる模様です。

 土壌中の硝酸性窒素(亜硝酸性窒素)については、その形態が土壌中で変 化していくため、土壌中の挙動メカニズムを把握するのが難しく、知見が十 分に集積されていない分野とされているため、環境基準が設定しにくい物質 となっています。

 7日の専門委員会では、こうした土壌中の硝酸性窒素の挙動解明に関する 文献による本格的な調査検討方針が、@硝酸性窒素の土壌中での深度方向の 濃度分布と、地下水への移行に伴う地下水中濃度の関係に関する調査、A硝 酸性窒素の土壌中での挙動(植物への吸収、空気中への脱窒、土壌微生物へ の取込みなど)、B土壌中での挙動を踏まえた硝酸性窒素の土壌から地下水 への移行量を推定するためのモデルに関する調査研究、C土壌中での挙動を 踏まえた硝酸性窒素の調査測定法に関する研究、の4点にまとめられました。

 また調査研究にあたっての留意点として、農用地土壌における化学肥料や その他有機肥料の影響を考慮に入れた調査研究、当該地域の地形条件と水田、 畑地の分布状況など農用地の利用状況を考慮すること、硝酸性窒素に係る土 壌環境の管理のあり方については、地下水が農業用水などに利用されること なども考慮し、当該地域の地下水利用状況を十分考慮すること、硝酸性窒素 に係る農用地土壌の管理については、地域の取組みと関係者の理解があるこ とが重要であることを念頭においた土壌管理のあり方を検討する─などが挙 げられています。

 専門委員会では、この調査研究によって、硝酸性窒素に係る土壌環境基準 の設定の可能性や硝酸性窒素に係る土壌管理のあり方、溶出量を予測する手 法の開発および適用性の検討などを行っていく方針です。  

 資料: 4月11日付 化学工業日報

  化学分析課 中瀬 希  


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