平成7, 8年度に公衆衛生院が行った調査結果によると、水道水源の河川や浄水から多 数の農薬が検出されています。調査は、東北、関東、関西、九州の6県で、水 道水源となっている河川と、その河川から取水して各家庭に供給される浄水に 溶け込んでいる農薬を検出したものです。中でも水田用の農薬は、季節的な使 用量の変動が大きく、春から夏にかけて除草剤や殺虫剤を多くまき、その後は 減って、冬にはほとんど使用しないため、河川に流出する農薬の量も変化して います。この調査でも、季節や採水場所によって検出される農薬の種類や濃度 が変化しました。

 ここで注目されるのは、浄水場によって、処理後の農薬の種類や濃度が全く 違うことです。問題点として、沈殿砂ろ過法、活性炭、オゾンなどのすべての 方法によっても分解されない農薬があることと、水質基準法で基準が定められ ている農薬の数が極端に少ないことです。現在日本では 5,000 種以上の農薬 が登録されていますが、このうち水質基準法で基準が定められているのは平 成5年に新たに水質基準項目に加えられたシマジン、チウラム、チオベンカ ルブの3種類のみです。そのほか、農薬の成分でもあるマンガンやフェノー ル類などを含めても全部で 46 項目しか基準は定められていません。                             

資料: 環境新聞、平成11年6月16日号

重量分析課  内田 陽子


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